書写

 最近、中島敦の「李陵」を手書きで、三島由紀夫の「春の雪」をパソコンでそれぞれ書写しています。
 一文か二文を、諳んじて、書き写してみる。そして正確に書き写せているかをチェックする。そういうことをやっています。
 調子に乗ってくると、まるで、自分が現在進行形でその作品を書いている気になれます……ってそれじゃあ、笠井さんの『梟の巨なる黄昏』じゃん。あぶないあぶない。
 コホン。ともあれ、文章を隅々まで味わうのに最高の方法だと、気に入っています。
 そして、「李陵」も「春の雪」もそのような手間をかけて味わうに足る名作たちだ、との思いを強くしています。
 図書館の中で、大学ノートを見つめて涙を流す変態、それが私です。