岡嶋二人さん

 岡嶋二人さんの小説が好きです。岡嶋二人さんの小説の緻密なプロットが好き。井上夢人さんの読ませる文章が好き。『99%の誘拐』『クラインの壺』『オルファクトグラム』など、多くの作品に憧れてやみません。そして、『おかしな二人──岡嶋二人盛衰記』とそこに書かれている二人の関係に非常に興味を持っています。
 
 作家の要素を「アイデア係」と「執筆係」とに分けた場合、小説家杉澤鷹里に対する評価は、「アイデア係」に偏重してなされてきたように思います。
 作品のディテールを仕上げる執筆係としての能力がプロの水準に達していないのではないか、という批判と表裏の関係にある評価なのではないかと受け取っています。
 もちろん表現したいところのものの特殊性のゆえの割引はされてもいいとは思うけれど、それでも確かに、破綻のない展開と自然な文章で読ませていく、ということは得意でないなあ、と思います。そのための技術力をこれからもっともっとつけたいと思います。
 
 小説を書くという行為を、もう少し要素に還元して、そして個々の要素についての研鑽を積むということの、必要性と魅力とを感じています。
(たとえば、「書写」「日常風景の描写」「色やかたちについてなど特定ジャンルに絞った語彙の収集・比喩の作成」「名作と呼ばれるショートショートやミステリの構造分析」「典型的なネタを用いた、ショートショートやミステリの執筆」など)