高松へフェリーの旅(5)

栗林公園

 このシンボルタワー、クレメント周辺は、JRの高松駅高松港、琴平電鉄(以下、琴電)が集まっている、交通の中心地。それなのに実に広々とのんびりとしていて、気持ちがいい。琴電に乗り込みます。玉藻公園の石垣を背景に緩やかに進んでいく。栗林公園前にて降り立ちます。
 六百メートルくらいの道をまっすぐに進むと、栗林公園東口に到着です。
 入場料400円を払って、入園です。案内図を手渡されます。
 60分コースの順路が示されている。広大な庭園であり、ごくごく簡単に歩いても一時間はかかるのです。じっくり回ったら、それこそ半日が経ってしまう。
 案内図を片手に、回っていく。手入れのよく行き届いた松林を抜けていく。圧倒的な広さの庭園に植えられた、圧倒的な量の木々の間を歩いて進む。芙蓉峰……富士山に見立てられた庭園の高台に登る。すると眼下に北湖が広がり、梅林橋の赤がアクセントとなった実に美しい庭園の様が確認できる。はては紫雲山の借景が、これまた格段に優れた雰囲気を作り出す。心が豊かになるような、そんな気になります。
 偃月橋は、南湖にかかり、その弯曲が趣深い。
 こんな橋の上で、美人が佇んでいたら、まるで古き良き日本文学の一場面だよなー、と感慨にふける。そんな美人、なかなか出くわすものではなく、しょうがないので、かみさんを橋の上に立たせて、湖の向かい側から写真を撮る。
 吹上の泉の清流を楽しみ、楓岸では秋の紅葉の美しさに思いを馳せながら楓の新緑を楽しむ。小普陀のかきつばたはまだ咲いていないのを残念に思い、石壁(赤壁)の前で、「赤壁っていうのはねえ、昔中国に三つの国があって……」などとかみさんに講釈を垂れ、なぜか紀元前後の中国に思いを馳せる。
 とてつもなく広い。回りきれないほどです。
 一般に庭園と言えば、岡山の後楽園、金沢の兼六園と、水戸の偕楽園をして日本三名園と呼ぶのだそうですが、その三大庭園と十分に肩を並べる、極上の庭園だと思いました。