アメリカに正義はない

ウサマ・ビンラディン殺害を、アメリカ国民の9割以上が指示する、ということに衝撃を覚えたヒトは多いだろう。
ビンラディン殺害というプロセスには、法的な正当性がない。
パキスタンの主権を侵害しているし、犯罪の容疑者の身柄の拘束ということが、可能にも関わらずそれを行っていない。
つまり、テロルという点において、ビンラディンオバマも、していることは同じなのだ。
にもかかわらず、アメリカ国民は、その行為を賞賛し、熱狂する。

<悪の帝国>

まるで、安易なSFの設定としてある<悪の帝国>のように。
あまりに巨大な帝国の中で、人々はその帝国の不法、不正、不誠実から、目をそらしてそれをそうと認識しない。
実際には、自国の利権をとことん追求し、他国の不利益を省みない、そういう<悪の帝国>である。
アメリカもアルカイダも土俵を同じくする、敵同士ということでしかない。

<裸の王様>

アメリカの風刺漫画で、「テロリストがオレたちを嫌う理由はなんだっけね」というのがあるそうだ。
それについてのアメリカ人の回答は、圧倒的に貧弱である。
アメリカ人は、搾取のシステムを構築して世界の富を収奪している(というふうに、テロリストを要請する世界の多くの人々が思っている)ということに、全く無自覚なのだ。

カダフィ空爆

NATOもまたそうであろう。爆撃によるカダフィの息子・孫の殺傷。明らかに一個人の殺害を意図して、それを紛争の調停と称すことができるだろうか? 普通はできはしない。だが、それをまかりとおしてしまう。それは容認されてしまう。
石油の利権の確保のために、一時はカダフィを容認し、そして切り捨てる、ということがされ、<悪の帝国>の民はそれを受け入れる。

鷹の視点

私達もまた<悪の帝国>の構成員なのだろう。
自らの共同体を越えて、世界を見ようとする気持ちを、世界を見ることのできる力を持とうと思う気持ちを、持ち続けなければいけない。