浦沢直樹 プルートゥ

 年末、鳥取に帰省する際に読み始めたビリーバット起爆剤になって、途中までとなっていたプルートゥを買いそろえ、最後まで読むこととなった。
 決して少なくない衝撃を覚えた。
 プルートゥの結末は二重化している。
 憎しみからは何も生まれない、という強い普遍性を持った倫理的なメッセージと、究極の悪を撃つということ、との二重化である。
 究極の悪、ドクタールーズベルトは、個を超え出た、個によっては制御することの出来ないアメリカのシステム的なもの構造的なもののメタファーである。ルーズベルトの描写には、物語の主題がそうと伝えるメッセージとは相容れない、憎悪がある。