2005年 6月11日 〈親指シフトにシフト4〉
ローマ字入力なんて馬鹿らしくてやってられないと思った私が、まず考えたのは、JISかな入力でした。
かな入力なのだから日本語入力を考えて作られているだろうし、JISのお墨つきがあるわけだから、いいんじゃない、いけるんじゃない、と思いました。直感的に考えても、ローマ字入力に比べ打鍵数が半減しそうです。
で、早速入力方法を変更して、練習開始しました。
ところが、打ってみてすぐに様々な問題があることが、わかりました。
一つは最上段までかなが割り振られているという問題です。ホームポジションを見失ってしまうし、数字や記号の入力が手間になります。
それと濁音や拗音などは個別にうたなくてはならず(たとえば「じゃ」などはローマ字入力であれば「J」+「A」だったものが、「し」+「゛」+「ゃ」となる)思ったようには、打鍵数が減らないということもわかりました。
Shiftキーを多様することにもなり、小指への負担が大きくなります。
これはわざわざ覚え直すものではないな、とすぐにJISかな入力へのシフトを断念しました。
それでも、もうローマ字入力にもどる気になんてなれません。
自分でハードレベルにまで立ち入ってデザインするのがいいのかも、なんてことも考え、いくつかアイデアを捻くり出しましたが、これは絵に描いた餅、現実的なものではありません。
そこで、同じ悩みを持っているヒトはいないのかと、ネット探索してみること数十分。様々な入力方式とキーボードデザインが考えられているではありませんか。ま、当然のことかもしれません。現状はあまりにお粗末だからです。
それで、出会ったのが「親指シフト」でした。
出会った、というのは少し恥ずかしい話です。なぜなら、親指シフトと言えば、あの親指シフトですから。
綾辻さんの『迷路館』に登場し、『ウロボロスの摂動論』でコモリさんが推奨していた、名高い入力方法です。本来ならもっと早くに眼がいっていて当然のものだったのです。
その特質を私なりに説明すれば、シフトキーを(通常のかな入力が左右区別なく小指に割り振っているのに対し)左・右それぞれの親指に割り振ることで、積極的にシフトを用いることができるようになっている配列であり、その結果、適度な範囲のキーだけで多くの入力ができるため(上段・ホームポジション・下段の30のキーと、シフトなし・左シフト・右シフトの3つのシフトの状態とが組み合わされることによって、実に90種類もの入力が実現できる)、ローマ字入力やJISかな入力の問題点が改善され、手に負担をかけることなく少ない打鍵数で日本語入力ができるものなのです。
これだ、これだ、これ。
もう、これを習得するしかありません。
「親指シフトにシフトだぁ」
そう勢い込んだはいいが、去年の暮れに買ったキーボードを今また買い換えるわけにはいかず、エミュレーターを使い、既存のキーボードの「変換」「無変換」を「右シフト」「左シフト」に見立てての、親指シフトデビューとなりました。
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