夫婦・卒業旅行(3)査証

 イタリア・フランスへの添乗員付きのツアー旅行なんて、海外旅行とは呼べないような代物じゃないか。東京旅行よりも簡単で何のトラブルもないだろう。そう思ってました。
 ところが、すんなりと関空から出発、というふうにはいかなかった。
 査証の問題があったのです。
 
 え? イタリア行くのに査証? そんなもの取ったっけ? と思われる方もおられるかもしれません。日本国のパスポートは、トランプで言えばエースか、下手したらジョーカーか、ともあれ、とてつもなくランクの高いもの。それを持っていると、確かにイタリアもフランスも査証なんていりません。

 で、今回、査証を取らなければならなかったと。
 調べていくうち、うろ覚えだったシェンゲン協定について勉強する機会を得ました。シェンゲン協定を結んでいる国々での移動は自由であり、ただシェンゲンビサを取得していればいいこと、フランスもイタリアもシェンゲン協定国であること、そういうことを理解しました。
 取得のためには、イタリア総領事館に行けばいいことも分かりました。
 ただそこから先が、進まなかった。いざ、イタリア総領事館に電話しても査証担当者は電話に出ないというし、指定された時間、番号に電話しても常に話し中(一週間、ただひたすら電話しました)。メールを送っても返信なし。まったく取り合ってくれなかったのです。しょうがないのでインターネットの情報を参考に資料を用意し直接乗り込んでみると、これが足りてないあれが足りてないと、その場になって初めて、インターネットの情報からではとても用意できないような不備を指摘され、受理されない始末。
 おまけに、その日申請者はわずか四組。査証担当者は、のほほんと暇そうにしているではありませんか。一体、どういう理由があって電話に出なかったのか、とても悲しく思われました。
 書類を用意しなおし、再度申請してようやく査証発行となったわけです。