倉敷・広島の旅(2)

岡山までは大混雑

 青春18きっぷを使った鈍行の旅。乗客まばらな列車の、四人向かい合った座席に足を伸ばしての、のんびりとした旅を思い描いていました。
 が。いざ神戸駅から新快速(神戸8:26発・土曜日)に乗り込んでみると、大混雑に圧倒。座れないばかりか、押し合いへし合いのおしくらまんじゅう状態。耳をそばだてれば、周りの人間ことごとくが、青春18きっぷを使った旅であることが分かります。
 やはり青春18きっぷの旅の王道だけはある。姫路−岡山間がボトルネックになっているこのルートで、その間の移動を円滑に行うために逆算してこの新快速に多くのヒトが乗っているのだと、予想がつきます。
 ひー。これはきつい。徐々に温度を増してくる閉鎖空間の中で、バスを使えばよかった、と後悔の念がわき起こります。なんとも苦しい思いをして、相生にたどり着く。9:30発普通糸崎行きに乗り換えです。
 しかし、ボトルネックの姫路−岡山間。新快速に乗っていた、ほぼ全員が乗り換える。こういうときに、一番に駆けだし他人を押しのけて座席を確保するようなバイタリティを私は持ち合わせていない。そういうときに無類の強さを発揮するかみさんも、身重の体が災いしてか、6人組のおばさん集団に無惨に敗北を喫していました。
 この期間でなければ、がらがらであろう電車の中に、みっしりと観光客が詰め込まれ、悲惨な状況となります。
 立ちっぱなしで岡山に至る。途中、鄙びた景観はなかなかに旅の風情を伝えるものであったのでしょうが、それも碌に楽しめない。
 岡山で八割方の同行者が下車をします。昼の食事にはまだ早く、倉敷で下車することにして、ようやく空いた座席に三人で腰掛ける。
 ここで観光ガイドをおもむろにめくり、倉敷に思いをはせる。厳密に計画しないでいいのも青春18きっぷの旅の魅力です。