愛蘭土倫敦紀行 ダブリン・ロンドン4泊7日の旅(9)

グレンダロッホ

 だいぶダブリンから離れて、牧草地が広がるようになっている。羊や馬、牛が、飼われている。そうしたバスの車窓から見える風景が面白い。やがて山あいの、建物もまばらなところに至ります。グレンダロッホ、運転手さんによると二つの湖の谷という意味だそうです、に至ります。
 灰色の空の下、石造りの教会群は、廃墟というものの魅力を十分に持っています。こっちを歩いていくと10分位で湖にでて、こっちに行くと……16時集合ね。と運転手さんが説明します。
 しかし。そのとき雨が襲ったのでした。誰も散策しようとしません。誰もがバスに戻ります。グレンダロッホの旅はここであっけなく終わってしまったのでした。
 途中にトイレ休憩のためたちよった駐車場で、娘のために買ったアイスクリームを私がひとなめしたら、コーンが根元のところで折れて、アイスクリームが落ちてしまい、娘をひどく落胆させ、一ヶ月になろうとする今にいたるまで非難されていることは、書かなくてもよいことかもしれません。
 雨に打たれたもののグレンダロッホは、溢れる緑と、その中に埋もれていく石積の建物のコントラストが美しく、簡素な建物のありようには、わびやさびとも相通じるものを覚え、キリスト教文化がようやくに及んだかんじがあり、ヨーロッパ世界の西の果ての地、との印象を抱くにたりました。しみじみとした、よさがありました。