愛蘭土倫敦紀行 ダブリン・ロンドン4泊7日の旅(10)

ギネスの谷

 風雨の山道をバスは進みます。霧が立ちこめ、眼下に谷底が覗かれる、秘境と言うべきところで、バスが停まります。
 眼下の谷はギネスバレーといい、アメリカのテレビドラマである「ヴァイキング」の撮影が行われた場所なのだということ。谷底には湖があり、遺跡めいた建物がある。撮影用のものなのでしょう。
 雨に濡れながら写真をとります。壁のような斜面に茂みが生え、放牧されている羊が草をはんでいる。環境の過酷さと羊どもの穏やかなかんじとが、なんとも言えぬ落差があって、おかしく思われます。
 バスは山道を進みます。運転手兼ガイドのおっちゃんは延々しゃべり続けます。ここで各国の歌をうたいましょう、となって、「では次、日本」と言われたときに、なんとか歌おうとするかみさんと、押し黙ってしまう私とに若干の気まずいわだかまりが生じてしまった、ということも書かないでよいことかもしれません。
 ダブリン市街に戻ってくる頃に、おっちゃんは本日のまとめをはじめます。「今日巡った、聖書の写本で名高いのは、どこ?」「グレンダロッホとはどういう意味でしたか?」などと延々の質問責めです。
 市街に入るときに若干道が混み、GPO(郵便局)の前に戻ってきたときは、18時を回っていました。こうしてバスの旅を終えたのでした。
 こうしたバスでないと、なかなか行くことの出来ない場所をめぐる、アイルランド鄙びたかんじをよく伝える、コストパフォーマンスのよいツアーでした。まあ、このツアーの醍醐味はガイドのおっちゃんのおしゃべりであり、それなりの聞き取り能力がないと楽しめないかもしれません。