2005年 3月26日  〈いかなごの釘煮〉

  子供の頃、この時期に神戸の親戚から送られてくるいかなごの釘煮が、とても楽しみでした。
 醤油と砂糖で甘辛く煮付けられた小魚は、複雑なうまみを持っていてご飯にとても合うのです。
 自分が神戸に越してきてはじめての年、だからまずこのいかなごの釘煮にチャレンジしてみようと思い立ったのでした。で、意外とあっさり、できちゃいました。こんなものが自作できるのかと不思議な思いがしました。
 その後毎年(カミサンが)作っています。この街に住んでいると、スーパーの魚コーナーで、調味料コーナーで、タッパーコーナーで、それに郵便局で、コンビニエンスストアで、実にいろいろな場所で、「いかなごの釘煮つくれ」というメッセージを見ることができ、それに操られるようにいかなごを買うことになります。
 一度に大量に出来る釘煮は大部分、実家に送ります。
 火加減とか魚の状態とかいろいろなことで同じようにはできない、というのがまた楽しかったり、翌年への課題となったり。
 そして春の訪れを告げるこの魚が今年もスーパーに並び、無事六年連続で釘煮を作ることが出来ました。
 希望者はメールしてくださいね、200gからお送りいたします(うそうそ)。

パトレイバー

 古いアニメ映画で恐縮ですが、劇場版パトレイバーを見ました。あれ、初めてみたはずなのに。何か見たことのある気に。
 アニメというのは、アニメを参照に再生産されるということなのでしょうね。極度に技術的なものでもあるのだ、と思いました。ある「絵」を作る技術はなかなか獲得し難く、一度獲得すればそれは再利用されるということです。
(う、お気楽ご気楽エッセイのはずが、理屈っぽい)
 アニメに限らないのでしょう。参照し参照される網の目の中で芸術作品というのは生まれる。だからこそジャンルという言葉や何々派という括りが意味を持つわけで。
 模倣の重要性を思った次第です。

〈新連載予告〉

 三周年を記念して「破壊者の幻想譜」に新連載を始める予定です。今回はNirvana Engineを見習って、週一回の定期更新、日曜日にします。タイトルは「四国競覇」。あ。土佐、伊予、讚岐、阿波が争うという話ではありませんから。